調圧ルーム

開発にかけた想い

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登山家の高地トレーニングの話を聞いたのがきっかけ

私は株式会社クレハ(旧社名:呉羽化学工業株式会社)で40年間開発の仕事をしておりました。

ずいぶん昔のことになりますが、私が30代の頃に社内行事で著名な登山家の講演会がありました。その時に「高地トレーニング」の話を聞き、とても興味を持ちました。
登山家の話では、高地トレーニングをすると心臓と肺が鍛えられるということでした。それを知って、気圧を変化させることができる部屋を作り、登山家が行くような高山の環境を再現すればその場で心肺機能が鍛えられるのではないかと思いました。高山では酸素が薄いために呼吸数や心拍数が自然と増えます。それが調圧ルームに興味を持ったきっかけです。

調圧ルーム開発者 川上進盟

調圧ルーム開発者 川上進盟

最初の調圧ルームの完成

しかし、そのアイデアをなかなか実現することができず、初めて自分で調圧ルームを作ったのは定年退職後のことでした。
初めてつくった調圧ルームは、標高4000メートル級の気圧を30分体験するものでした。家族や友人にもためしてもらいましたが、酸素のうすい環境を体験してから外に出て歩いたり走ったりすると、いつもよりずっと早く目的地に着くことができました。なるほど、心肺機能を向上させて運動能力を上げられるものだということが分かりました。思った通りの結果が出たので、そこで研究も終わりになるかと思われました。

登山

標高4000メートル級の気圧を体験

体温が…、思わぬ発見

ところが、ある日、冬の寒い朝にもかかわらず、調圧ルームに入っていると自分の手がぱっと赤くなることに気がつきました。これは手のひらの温度が上がっているということです。しかも、この現象は気圧を下げているときに起こりました。

気圧を下げると室内の空気の温度は少し下がります。寒い日に、しかも室温が下がりつつある中で体温が上がるというのはいったい何が起こっているのだろうとドキドキしました。もちろんルームの中で体温が上がるような運動などをしているわけではありません。
調圧ルームに入ると、ひょっとすると酸素呼吸が活発に行われるようになるのかもしれないと気がつきました。しかも、もし、運動もしないのに酸素呼吸が活発に行われているなら、からだの中ではエネルギーを消費しないで、逆にエネルギーであるATPがたくさん作られているのかもしれない…。
いろいろな条件をためして体温を短時間であげられるような設定を見つけることが次のテーマになりました。

「調圧ルーム」では、現在までの私の最新の研究成果をお試しいただけます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

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調圧ルーム開発者川上進盟